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第10回ロードレースアカデミー(今回も発見が多かった)
今回で10回目を迎えるRRA。
向上心の高いライダーのお陰様で今日に至ります。改めて参加者の皆様と、富士スピードウェイ、参考になる良いインスピレーションをいただいた、レーシングドライバーの織戸学師匠に感謝です。
今回のゲスト講師はフランス人のトム・ボシス。
講習はブレーキングの基礎から始めるが、今回は初の参加者が大変多く、非常に危険な状態。
なんどもアカデミーに参加し反復練習をしている人と、初参加の人で制動距離が違いました。
そしてポジションの悪い人は全くとまらないし、体重移動が出来ていないということをトム講師の指摘で再確認。
トム曰く、だれがFitting出来ているかいないか、一目でわかるとのことでした。
それほど、単純なブレーキでも奥が深く、ポジションによりやり易さに大きな違いが出るということです。
恐怖心がある方にはその恐怖心としか感じられていない部分を、物理的な根拠でで説明し、正しい方向性でその恐怖心を取り除けるようにします。
これはコーナリングでも同じことが言えるのですが、恐怖心を取り除くために無理矢理変な方向性で努力するのではなく、なぜその恐怖心を感じているのか?
恐怖心を生み出している操作の原因は何か。
そこを一緒に噛み砕いて行きます。
人間の恐怖心は意外と正しいもので、正しい方向性で(気合いではなく)恐怖心を取り除くことがとても重要です。
ある意味、メンタルトレーニングの要素や、心理学の要素も取り入れてしっかりと、土壇場での落ち着いた判断力を身につけていきました。
ブレーキングの講習が終わると、休憩を取り次なるコーナリングの事前座学講習を行います。
どうしたら、安全に速くコーナーを脱出できるのか。また前後輪タイヤのグリップを最大限発揮し、フロントからスリップしないように走るか。
サドルをしっかりコントロールし、リヤタイヤを感じることが出来るかが肝。
今回のコーナリング講習でバイクが曲がる順序、その先にリヤタイヤを感じることを教えることが出来て、とても安心感が増した人が多かった。
要は、フロントタイヤだけ使って、曲がっているような人がほとんどということ。
ここは非常にマウンテンバイクの経験がヒントになり、レクチャーに役立った。
教えていてこちらも発見があり、とても楽しい時間でした。毎回参加の方を見ていて、ようやくレベルアップさせる引きがねが見つかった時はなんとも言えない達成感があります。
結局は、その繊細な部分をコミュニケーションで伝えていくことがまた重要な訳ですが、このサーキットならではの一定コンディションの路面だからこそ出来る、研究ではないかと思います。
V字コーナリング、スラローム、シンプルなコーナリングで十分タイヤを感じる練習ができます。
いくら複合的なコーナリングがうまく出来るようになったところで、基本的な"安全に曲がる"ということが、V字コーナリングで出来ていないということはそれ以上のレベルアップが望める訳がありませんでした。
第4回くらいまでのアカデミーではコーナリングのパターンを4パターン用意していましたが、ちょっと参加者にとっては発展的すぎたかな。と思い、この文章を書きながら反省しているのが正直なところです。
気温も高かったので、12時から早めの45分の昼食の休憩を取ります。いつもよりも一時間早めに行いました。
ここでもトム講師から、水分と食べ物の補給についてのアドバイス。水分を取った上で食事を胃に入れると、消化がいいとの話だった。
こういったちょっとしたエッセンスで、選手は強くなっていくので参考になる部分が多かったのではないでしょうか。
午後も再度コーナリングの講習を行い、とにかく修行と言える反復練習。
単調な作業にならないように、講師が先導走行をしたり、後ろから走ったり、常に無線機から指示が飛ぶ環境。
そのままダンシング講習を行い、ある程度出来るようになった4人はスプリントの練習を行った。
実践的にレーンを決めて、ゴール地点までモガキ切る。スプリントもまずはゆっくりやること(通常のダンシング)が出来なくて速く回転させられる訳がないということでこの練習も順序が重要ということです。
15時半から、最後の一時間はローテーションセッション。
こちらもみなさん、初回の方が多いのでもちろん全く出来ていないところからのスタートでした。
トムがローテーションのやり方を歩きながら、フォーメーションを成立させる講習を行ったあと、こちらもゆっくり走ることからスタート。無線機で常に注意が飛び、ペース配分、先頭交代のラインの指示が飛ぶ。
ここまで厳しい講習も少ないと思うが、危険な行為を参加者がしている時には、厳しく注意します。
例えば、すごく多かったのが、先頭に出ると挙動不審になり、後ろを振り向く人。
これは非常に危険。まっすぐ走りながら振り返っている"つもり"でも実際には、横に一車身ずれている人がほとんど。
このような行為を行うと後ろの人をとても危険な目に遭わせることを強く伝えました。
このようなヨーロッパでは常識的に行われていることでも、日本においてはJPTレベルでもまだまだだと言わざるを得ない部分が多く見受けられます。
速いとか遅いとかの前にまず、正しい知識を身につけること、勘違いを減らすことを充分に行う必要があるなと思いました。
ローテーション技術、コーナリング技術、アタックの掛ける技術。
速い遅いの前に、省エネ走行で速さを求めるために必要な技術がたくさんあります。
今回も一日を通して、自転車の文化、ヨーロッパでは当たり前の技術を伝えることが出来てきたのではないかと思います。お集まりいただきありがとうございました。
次回は9月30日(日曜日)開催になります。