Topicsトピックス
第3回ロードレースアカデミー(RRA) feet Yans
6/17(土)富士スピードウェイGCパークにて開催されました。
毎回ゲストの講師が変わるこのプログラム。毎回参加されている熱心な参加者も数名いますので、とにかく参加者も主催者側も飽きないでワクワク講習を行うことに重きを置いています。今回のテーマは「マウンテンバイクの技術をロードバイクにクロスする」こと。
今回はご縁が実り、元マウンテンバイクの世界チャンピオンの柳原 康弘氏(Yansさん)にお越しいただきました。現在は自転車のプロデュースや、MTBの基礎テクニックを教える講習会を行われていて、結局「ロードもマウンテンも、自転車を操るって事っては共通項だよね」という木下と、柳原さんの共通意識が一致して今回の開催に至りました。
当日の天気は快晴。今回も50代のご夫婦の方だったり、将来有望な小学生だったり。幅広い自転車層の参加者が集まりました。毎回講習で話していますが、このRRAのコンセプトは「息が上がる練習ではなく、頭が疲れる訓練」です。なので年齢や、サイクリングの目的は関係ありません。E3、E2、E1、JPTなど、のクラス分けもなく体力関係ない世界を目指しています。速い人が必ずしも上手いわけではないし、ヒルクライム遅い人が必ずしもテクニックがないわけではありませんからね。(個人的にクラスが上がっていくとプライドが高くなっていく傾向がありますが、所詮、ヨーロッパの技術レベルとはかけ離れた日本のロードレースレベルなので……あまり私は日本のカテゴリでの走力分けを信じていません)
朝、コースにつくと早速Yansさんも来られて、準備を開始する。「こんな広い場所なんだね〜、気持ちいねえ」とYansさん。しっかりとした座学が出来る講習ルームにも良い印象だったようです。
早速8時30分から、講習ルームにてYansさんの座学が始まりました。
「なんで自転車って倒れないの?」「どうして自転車って曲がるの?」そして「自転車に乗る事、降りる事」、「重心移動」を噛み砕いていく。
みなさん、答えられますか?「なぜ自転車は倒れないのか?」よくありがちな、回答はジャイロ効果ではありませんでした。
Yansさんの言葉の端々からは重要なキーワードがいくつもあり、物理的な側面からアプローチしていき、参加者の腑に落ちた表情が印象的でした。
途中、わかりやすく説明するためにお箸が出て来たり、「動かす技術、動かさない技術」など、個人的にも目から鱗で驚きと感動と発見がありました。
(photo by Nobuyuki Aoki)
1時間ほど座学を行い、少し休憩を挟み広いコースへ。
Yansさんはカラーマーカーを用意し、25mほどのコースを作る。
まず座学で噛み砕いた「自転車に乗る事、降りる事」を体現していく。意外とこのセッションもやってみるとできない人が多くみられ、みなさん基本をマスター
一生懸命練習していました。
この「乗る事、降りる事」がバランス良くできない人が「立ちゴケ」を誘発するんだなと思いました。
ここまで、基礎的な動作を世界チャンピオンが細かくレクチャーする。これほど素敵なロードバイク版基礎テクニック講習はないのではないのだろうか。
思うにこの基礎動作が出来るサイクリストは、日本国内にいるサイクリストの全体の5パーセントくらいかなと思います。
「スタンディングができる、バニーホップができる、ウィリーができる」は、意外とロードレースにおいて落車回避をする上で非常に重要なテクニックです。
しかしカッコイイ応用テクニックを身に付けたくなりますが、まずは基礎が出来ていないといけません。
まずそもそもポジションがあってない、しっかり真ん中に乗れていない人、なめらかなペダリングができない人はウィリーはできません。
基礎 テクニックを身につけること、また上級者はさらに精度を上げる事が重要だということを改めて感じました。
(photo by Nobuyuki Aoki)
午後は木下がバトンタッチし、午前中の基礎講習を生かした実践的な技術講習へ。
最初はブレーキングのトレーニングメソッドを行い、すぐにコーナリングセッションへ。
いつもとは違うリズムなのでスピード感を持って行ったが、午前中のYansさんの講習によって参加者の自転車の基礎操作レベルが明らかに上がっていて落ち着きがみえました。
今回も無線機を全員に装着し、講師のアドバイスを参加者全員が共有できるシステムで行いました。この無線機のメリットを簡単に言うと、まず列に並んでいる参加者が、他の参加者を見学している時に、他の参加者に向けたアドバイスを共有できる点。よりスピーディーなレベルアップが図れます。またプロトンの練習で、集団が縦に長い時に集団後方に講師がいるときも、先頭の参加者に向けてアドバイスを送ることができる点。とにかく間違ったその瞬間を見逃さずこまめに声を掛ける事を講師は意識して行っています。
さて話がそれてしまいましたが、基礎コーナリグ講習が終わると、クリテリウムのゴール勝負などで役立つ「複合コーナリングからゴールめがけてスプリント」という一連の流れを作って行いました。
この講習の目的は、スプリントポイントでいかにスムーズトップスピードに加速するかと言う事。しっかりと先を見据えたコーナリングをすれば、タイヤを縦方向に使い、フルパワーで加速できます。しかしながら目先のコーナリングを意識したラインをとってしまうと、コーナー出口で脱出スピード自体は速いものの、自転車の向きが変わっていないために(ということはタイヤをまだ横方向に使っている)タイヤのグリップを縦方向に使えないためにフルパワーでスプリントが出来なくなってしまいます。このような点を意識したトレーニングを行う事で、最大ワット数を高める以上に、コーナリング脱出→加速モーションに素早く入るテクニックが重要かということも伝えられたと思います。
(photo by Nobuyuki Aoki)
最後は集団走行のローテーショントレーニング。女性の方など脚力差を考慮したポジションでより、みんなで効率よく走る練習。よくクラブチームの練習会でありがちな脚力自慢の千切り合いではなく、いかに助け合いながら効率よく走るか?という事がコンセプトです。
強い人はプロトンののペース維持のために力を使い、弱い選手や調子の悪い選手はミドルの強度でついていく。
集団走行が初めてだった方もいらっしゃいましたが、やはり楽にハイスピードを維持できたことが気持ち良かったようです。
事故もなく無事に講習終了し、最後みなで講習ルームでミーティング。次回も参加の予約も早速いただきました。
クリテリウムに出走するよりも、このロードレースアカデミーで基本を学んでから出ると、落ち着き度合いも違います。その落ち着きが、操作の面でも余裕を生み、安全なレース進行に役立ちます。そして落車せず、怪我せず、一つ一つのレースを完走し経験値を上げる事で初めて、表彰台への光が見えてきます。落車で鎖骨折ったり、フレーム折ったりするよりはまず、正しい知識を身に付けていただけたらと心より願います。
今回は午前中はYans講習。午後はKinofit講習と分けて行ってみましたが、これはこれでとても良かったです。 午前中はYansさんのリズムでやっていただけたことで、僕も実践しながら改めて無意識レベルで行なっている自転車の操作をじっくり考える事ができました。逆に午後の講習はYansさんも参加者と同じ目線で参加していただき、ロードバイクの奥深さ楽しさを味わえたとのことでした。
今後もこのようなボーダーレスなイベントをどんどん企画していきたいと思います。
次回は8/11(祝)12(土)に同じく、富士スピードウェイGCパークにて開催です。
12日はジェントルマン プラクティスクリテリウムとなります。
12日は 参加費1.5万円でタイムトライアル2本と、ショートレースを7〜8本走れるカリキュラムを用意しています。
タイムトライアルでクラスを分けをおこない、その後レースの練習。
例えば一回目のレースでアタックして失敗して、反省して修正、また違う方法でアタックしてみる。 このようにトライアンドエラーを繰り返す事ができるイベントになっていますので、レベルを問わず奮ってご参加ください。