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第6回ロードレースアカデミー
冬真っ盛り、天候に恵まれた今回のアカデミー。最高の天気に恵まれ、年末の忙しい週末の中、意識の高いサイクリストにお越し頂きました。
今回のゲスト講師は今中大介さん、インターンとしてフランス、エクサンプロバンスで走る石上選手に来ていただきました。
石上くんとは彼が中学生の時からの神奈川県の後輩。彼もまたジュニア世界選手権で17位と素晴らしい成績を持っていて、U23の期待のホープです。ぜひとも自分が達成できなかった、ツールドフランスの道を頑張って欲しい。僕は仕事を頑張って、彼にスポンサーをできるようになりたいですね。
石上選手はもともとMTB出身でやはりバイクコントロールは非常に上手だということで今回のサポート講師をお願いしました。
AEDを含め、救護班のUSUIさん、個人的なモータースポーツつながりの成瀬カメラマンにも来てもらい、コーナリングデータとしての写真撮影をお願いました。また、今回は来年のRRAのプロモーションビデオのための撮影部隊にも入ってもらいました。
さて講習の内容ですが、毎回変わるカリキュラム。今回も新しい試み満載です。
正直、やりたいことがありすぎて、毎回やりたいことを絞るのが大変なのですが、ある程度エントリーリストを見ながらこんな講習がいいかなって感じで毎回アレンジしています。
毎回必ず参加していただいている方もいらっしゃいますが、一回で身につくようなものではないのでとても有効だと思います。
その毎回参加されている方でも、毎回ご本人も発見がある様子で、見ていてもまだまだ向上できるポイントはあると言えます。
動作、操作の正確性をあげてもらうことがまたレベルアップにつながります。レースの場面などでは、興奮していることが多く、普段できると思っている簡単な操作でも出来なくなることもあります。
なので毎回の反復練習が非常に効果的です。
今回のアカデミーの大きな流れとしては
タイヤの知識
ブレーキング
コーナリング
緊急回避テクニック
複合コーナリング
ダンシング
スプリント(加速のためのダンシング)
ローテーション
と言った感じ。
タイヤの使い方、摩擦についての座学を行なった後、コースに出て実際にブレーキングの練習から。
フォームを掴み、それぞれ参加ライダーは、身体とイメージのギャップを修正していました。ブレーキング中は実際に僕と今中さんがブレーキレーンに入り、直接声を掛けながら指導していきます。途中から僕もみなさんとブレーキキングで並走して、プロがどれだけ止まれるかということも示せたかなと思います。単純にスピードを落とせば、物体の運動エネルギーは落とせるので落車時のダメージも極端に減らすことができます。
ブレーキングの距離が後半になってくると、最初の半分以下で止まれるようになったりとても上達されていました。
ブレーキが終わると、少し休憩してからコーナリングへ。
今回はより身体の動作、バイクの操作を中心に、内容をいままでより濃いものを提供できたと思います。そんな講習で一役買ったのが、プロカメラマンの成瀬氏の写真。
僕の希望するアングルで、焦点距離で最初のコーナリングのフォームを撮影してもらう。それをデータとして吸い上げまとめてもらう。まとめ終わった時点で、参加者をグループごとに分けて講習ルームへ。そしてPCのモニターの前で一人一人フォームのチェックを行いアドバイスをしました。
成瀬カメラマンは先ほども書いたように、普段はモータースポーツを中心に撮影されています。なのでハイスピードの撮影テクニックには目をみはるものがあります。
その技術を利用させていただき、参加者のレベルアップを積極的に図りました。
その時の様子(360度映像です)。
人のアドバイスを耳にすることで得られることも多々あると思ったのでこのような方式で行いました。参加者には本質的なレベルアップをして欲しいので、なるべく人それぞれピンポイントにダイレクトなアドバイスを目指しています。やはりスポーツは生半可では上達しませんからね。
コーナリング講習の前に、私が参加者に伝えたことは、どんどん上手くなるために、一本一本集中すること。たくさん走れる環境と、時間は用意されています。しかし内容を濃くできるかどうかは、参加者の集中力次第だと思っています。やはり高い集中力で行うことで不必要な落車を防げます。
休憩に関しても人それぞれ。私の方から、「ちょっと休憩しましょう」と声を掛けさせてもらうことも。ドツボにはまってしまった時など一旦頭を冷やしてから課題に取り組むと非常にいい成果や発見を得られることもあります。
コーナリングもたくさん走ってもらい、昼休憩。
各自講習ルームで昼食を食べ、13時半頃から午後の講習スタートl。
午後イチの講習は、今日の目玉の緊急回避セッション。
レースで、エンデューロで、日々のサイクリングの下り坂などで、目の前で何かが起こった時にしっかり回避するテクニックを正しい方向性で持ちましょうというコンセプト。
午前中に行ったことの総まとめですが、このセッションでは参加者の精神を追い込む”工夫”を凝らしました。そのため、ブレーキング講習だけの時にはできていたことが出来なくなっていたり、コーナリング単体で出来たことが出来なくなっていたり、参加者はかなり苦労しながら課題に取り組まれていました。
この日1日の中では、かなり難しいセッションだったと思います。
最後に講師のマジ走りをお見せしました。リヤタイヤ浮かしながらの、超絶緊急回避テクニックにみなさんの歓声があがりました。
そのまま複合コーナリングセッションへ。
ここも非常に難しいセクションですが、午前中学んだ基本をベースにみなさん頑張りました。ただ、そんな簡単じゃありません。継続的にに参加してレベルをコツコツ上げていくと楽しい世界が見えると思います。
僕は10年ほどかけてこの技術を、ヨーロッパまで出向き、日本代表などで養ってきました。なので、そんなことが最短距離で学べて数万円って、高くないと思っています。高いと思うなら仕方ないですが、多分本物のヨーロッパのW杯クラスのレース走ったら目ん玉飛び出すと思います。「ああ、バイクコントロールレベルが高くなきゃ、密集した集団で位置どりすらできない」って感じかなと思います。
さて話が脱線しました。
気温も落ちてきて、坂道区間でのダンシング講習。
ガンガンアドバイスさせていただいているダンシング。僕はかなりダンシングが得意な方です。
奥が深いです。今年一年、実業団レベルの選手から、みなさんの走りを見てきましたが、誰一人、ダンシングで合格ラインに達している人はいませんでした。というより、ダンシング出来ない人or勘違いしている人が99パーセントという状況だったことを覚えています。
そこから日々、フィッティングの中でも研究して、どのような問題が起こっているのか、何から教えればいいのか、少しずつカリキュラムを考えていき、9月の仙台での講習でそのメソッドでの講習を行いました。
止まった状態でのハンドル操作を練習し、理解する。その上で自転車で走ることをしました。
講習の内容は深すぎるのでここでは割愛しますが、ここもじっくり1時間以上かけてダンシングについて細かな指導を行いました。
すると参加者は本当にみるみる上手くなり(最初は下手すぎた)こちらとしては本当に面白くやりがいのある瞬間でした。みなさん、講習のレベルアップのスピードについて行くために必死さが、いいシナジーを生み、また参加者の集中力を高めたのかもしれません。
その後、加速のための平坦でのダンシング練習。
ここでポイントですが、みなさんダンシング中に踏みすぎな場合が多く、リラックスできてないことが多いです。かなり踏んでるイメージを強く持っている方が多いのも問題ですね。
今中さんからも、みなさん踏みすぎないように気をつけてと何度もアドバイスがありました。また今中さんが言っていたことで、僕も常にお伝えしていることがあるので、ここに記すと、「ちゃんとしたフォームで走っていると、自然と体幹の筋肉がついてくる」
ということです。
フィッティングを受けてもらった方にはわかると思いますが、無意識にハムストや腹筋周り(特に腹横筋や腹斜筋)が付いてきたと思います。
それは正しいフォームで走っているから。
自転車の上でエクササイズしている時間は体幹トレーニング時間よりはるかに長いです。いくら体幹トレーニングやウエイトトレーニングをやっていても、自転車の上での使い方が間違っていれば、ほぼ重りをつけているようなもの。最低限の筋肉で最大効率のパワーを求めるためにも、普段のフォーム、ダンシングのフォームでの筋肉の使い方は非常に重要になってきます。
ということをみなさんに説明しながら、大充実のダンシング講座を終えました。
もっとやりたかったのですが、毎回このロードレースアカデミー非常に濃密なスケジュールでこなしています。参加者も必死でレベルアップのために頑張ってくれていました。
最後、ローテーションセッション。
ここは軽く先頭交代の基礎知識の基礎をお伝えして、最後はカッコよくみんなで、ハイスピードで回ろうというもの。富士スピードウェイの路面もありえないくらい気持ちよく進む滑らかな舗装です。そこで参加者みんなに講師が無線機で指示を出しながら30分。みっちりレッスンを行いました。
本当はこのセッションももっと踏み込んだことを行いたいのだけど、その前にやるべきことが多くてそこを見極めながら参加者も頑張りました。
最後はペースを上げてゴールまで。気持ちよく出し切りました。参加された方の充実の表情のまま記念撮影。
本当にみなさんお疲れ様でした。今回の講習も、速い遅い、実業団とか、ヒルクライムとか関係なくどんなジャンルでも活きてくるものです。
基本ができていなければ、応用はできません。基本が出来てないものに、本物の勝利は訪れないと思っています。本気でよくなりたい方はぜひお越しください。とても厳しく、歯に衣着せぬ言葉でビシバシいきます。
自分としては、場所代は掛かりますが安全が確保され、この丸1日集中して楽しく学べてスキルアップ出来る講習に誇りを持っています。今後ももっともっと継続的に来てくれている方のレベルを上げて、Kinofitファミリーの絆を自然に強められるように頑張っていきます。
今回もゲスト講師として今中大介さん参加者への優しい眼差しに大変感謝です。毎回ありがとうございます。
講師は毎回変わりますので次回の講師は誰になるかお楽しみに。
今回ご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございました。